通訳者Mのブログ

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変な訳に慣れない

ambitious = 野心的な

 

よく出てくる言葉ですが、早い話、その訳は違うと思います。

辞書はありがたい存在ですが英英辞典でニュアンスを確認してから通訳者は単語を使うべきじゃないかと個人的には思います。

 

ambitiousは意味ふたつ

1 determined to be successfulrichpowerful etc
2 an ambitious plan, idea etc shows a desire to do something good but difficult

ambitious | meaning of ambitious in Longman Dictionary of Contemporary English | LDOCE (ldoceonline.com)

 

 

例えばambitious goal と言ったら二つ目の意味で使っていることになります

 

 

翻って

野心的とは

考えや計画などの、身分不相応なまでに大きなさまや新しく大胆であるさま。

野心的とは - コトバンク (kotobank.jp)

 

違うソースから引用すると

望みなどの、身分不相応大きいさま。また、試みなどの、新しく大胆であるさま。「野心的な研究

「野心的(やしんてき)」の意味や使い方 Weblio辞書

 

 

どの辞書をひくかで多少表現は当然異なりますが、


 an ambitious plan, idea etc shows a desire to do something good but difficultと、

考えや計画などの身分不相応なまでに大きなさまや新しく大胆であるさま

 

がつながらないと思うのは私だけなのか

 

その昔辞書にそう書いてあったから慣用的に使われているんじゃないか?

 

「ストレッチかかった」目標、とか、「非常に高い」目標とかで十分じゃないのン?

 

通訳業界に籍を置いていると、変な日本語のコロケーションを聞いても英語から翻訳しているから仕方がないか、と思う自分が形成されがちですが、抗いたいところです。

 

まあでも通訳者視点で話をすると、通訳って1コンマで訳を出していかなければいけないから、最高の訳を追いかける余裕がない。

 

まあでもそうはいっても、次から次に言葉のtsunamiにのまれているうちに、ニュアンスにこだわる自分を忘れたりするんです。

 

 

初めは諦めだったものが、慣れに変わり、それが常識になって、疑わなくなる。

いちいち考えるのは大変だし、答えがすぐ出るとも限らない。でも大変だからって考えなくなると、言葉に対する規律や感覚がなくなります。

 

言葉のプロと言われる通訳者をやっている私は少なくともそういう感覚があってしかるべきだと思って、日々格闘しています。