通訳者Mのブログ

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クライアントの期待に応えようと考えすぎないこと

先日007最新作観て、期待に応えるって大変だと思いました。観る前にレビューを確認して賛否両論分かれていることを知ってからではありましたが、確かに意見が割れるのも仕方ないのかな、と見終わって複雑な気持ちでした。

007の話をしたいのではなくて、期待値の話です。

通訳を聞き慣れているクライアントの場合はある程度期待値が定まってしまっています。もしくは、英語堪能な担当者の場合はその方メインの期待値があるわけです。

相手の期待値を気にしていたら仕事は出来ないし、実力も出せないと思うけど、それでも期待値に応えられなければ次はない位に思ってもいいと思います。


逆に期待値を越えられた場合はプラスのフィードバックや指名を頂けたりするのですが、これも流動的なものだと思った方がいいです。聞く人によって判断は変わりますしね。だからプラスを頂いても、それはよかったです、程度で流して、さっさと忘れて更に良い通訳を目指すのに時間を使った方がいいんですよね。イチローさんがインタビューで仰っていました『こういう時に余韻に浸ると良いことないからさっさと明日になって欲しい』と。

しかし結局のところ、期待値とはいうものの、そんなのわからないわけですよ通訳者は。だからこそ、常に自分の中で理想を持つ。その理想に照らし合わせて○か×か自分が最初のjudgeになるべきで、そうすると大きく落ち込むことはありません。


お客さんに買ってもらえたか、という視点ではなくて、自分の通訳は淀みなくストレスないものだったか?意味が本当に通じる通訳だったか?基本的なそういう要件でさえ、満たすのは簡単なことではないです。


だから期待値云々は、振り返ってからの話であって私たち通訳者は、自分の理想に近い通訳をすることだけ考えて集中することが大事だと思います。