こんにちは
通訳者の毎日をシェアする通訳者Mのブログです
表と裏があるように、一つのことを表すのに「こちらから目線」、と「あちらから目線」があります。
あなたがパリに出かけて、レストランで美味しいメカジキのトリュフホワイトソースがけ、なんていうのが出てきたとしましょうか。あなた目線で行けば、a cuisineと言ってもいいかもしれないけれど、厨房にいるシェフからしたらone of the plates程度。
ずるずる付き合っていた彼女とサヨナラしてすっきり人生のa new chapter beginsと騒ぐ側と、突然フラれた側はa shattered hope in life かもしれません。
どの目線で通訳するかによって、使うフレーズや単語は考えないといけない、場合もあります。
非常に細かいことですけどね。
「そんな言い方英語ではしないだろう」そう思って英語の自然な言い回しにする。何も考えずにやっていたことですが、直訳調でそのまま訳して欲しいクライアントもいます。この記事でいう直訳風というのは、英訳する際に辞書の1番上に出てくる表現だけを使ったような英文を指します。
ドレスコードが相、対する人の為に存在していて、着る人の気持ちは関係ないように、通訳も、通訳者が話したい英語を話すのではなく、クライアントの話したい英語を話す為にあります。
こう書いてみると当然のように思えますが、意外と実践するのは難しいことだと思います。人間が通訳していますから、その人の色が入ってしまうのはある程度仕方のないことではあります。
でも実際に直訳風英語で通訳してみると、「ネイティブらしい英語」に勝手に変えることで、確かに、そこからあふれ出すニュアンスが本当にクライアントの認識と一致するのか、確証が持てない場合もあるだろうと感じました。
英語から日本語なら、自分がネイティブですから少しの表現の変更で変わるニュアンスも手に取るようにわかりますが、悲しいかな、全く同じことは英語では難しい。
もちろん、クライアントが全員直訳風の通訳を求めているわけではありません。
が、発言に重く責任が伴う場合は慎重を期して訳すことも必要だということだと思います。