こんにちは
通訳者の毎日をシェアする通訳者Mのブログです
この仕事をしているとどうしても目先のことで手一杯になり、明日、明後日、のことしか考えられないことが普通になってきます。一週間先のことを考えられたら長期的視点と言ってもいいくらい。
忙しい毎日でも、頭の片隅に中長期的に必要なことは何か意識しながら過ごすことは無駄にならないと思います。
会議通訳者の案件は名前の通り会議のことが多いので、局所的な話題です。ものすごく範囲の狭い話をすることが多いのです。
一つの会社の中の出来事だったり、一つの技術についてだったり、一つの国のことだったり。
でも局所的な知識では間に合わないスケールの仕事もあります。国際会議とまでいかなくても、セミナーや対談、パネルディスカッションなど複数のトピックについて有機的に結びつけて議論を行っていく場合、通訳者の脳もスピーカーの話すスケールについていかないといけません。こういう場合には資料はなく、聞こえてくる音だけが頼り、ということが多い。この時は素手で戦う状態です。自分のこれまでに培ってきた知識をベースに話を聞いて通訳していくしかないのです。
専門家にはならなくていいけれど、専門家が言っていることは理解出来ないといけないし、それを言葉で伝えるところまで出来る必要があります。
世界の関心が今日どこにあるのか、どこに向かおうとしているのか、世の趨勢を肌感覚でわかっておくことは、あらゆる種類の仕事をするのであれば必要だと思います。
新聞で事実を知ることからだと思います。日本から遠い国で起きたことも、関心を持って知ること。別に明日の案件で役に立たなくてもいいんです。浅くても広く知っていることで、いつか話を聞く土台が出来ているから、それでいいんです。
いつ役に立つかわからないことを続けるのは、目標なくダイエットするようなものかもしれませんが、実際に会議中にそうした知識に救われた場面が増えてくると、あらゆる事柄に関心を持てるようになります。
高速から見える夕方の東京湾
たまにひらけた景色を見ると大きく息が吸える気がします