通訳者Mのブログ

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通訳者に必要なのもテクニックではなく、スキル

こんにちは

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同時通訳をする時に何が鍵になっているかと言うと、

①聞こえてきた言葉が何を意味しているか、理解が出来る(母国語でない場合、音声的なハードルもありますね)

②理解したものをすぐに反対言語に出来る

 

①は当然のことのように思うかもしれませんが、話の流れの中で何を言おうとしているか理解出来なければ、②に到達する術もありません。ここで何を言いたいかが分かったとしても、訳せなければ通訳になりません。いつも同じ話を通訳するのでない限り、①は必ずしも当然のこととは言えないんです。

 

ラグビー元日本代表ヘッドコーチとゴールドマン・サックス社長が教える 勝つための準備の中でラグビーについてエディーさんがこう話しています。

テクニック は、最も狭い意味での技術 です。一方スキル は、その技術を正しい状況で活かせる能力で...

プロとして考えた場合、テクニックよりスキルのほうが大事です..テクニックは反復練習をすれば、誰でも習得できます。しかし、それだけでは意思決定がうまくできるようにはなりません。そのため日本にはスキルに長けている選手が 少ないのです。

 

この話は通訳で言うと、たぶん①から②のプロセスがスムーズに出来ることなんじゃないかな。①だけ出来ても、②では目の前の単語テストで100点取れても、意味ないってこと。

 

対策...

①の何を言おうとしているか理解する為には、あらゆることに関心をもってアンテナを普段から張っておくことなんじゃないかと思います。新聞や雑誌を読むこと含め。ラジオでもテレビでも。

ただ通訳者って人と人の間に立ってする仕事なので、コミュニケーション能力がないと務まりません。いろんな人の気持ちや考えをスッと分かるようになるために、いろんなタイプの人と接することから、小説や映画に触れることも大事ですよね。

 

②については、知っている膨大な単語の中から、最適な単語を、時間をかけずに、パッと出せるかどうか、が大事ってことです。セカンドベストとか言いますが、現実問題ズバリが出てこないと上手く話が繋がっていきません。

 

目で見て答えられる範疇の単語は、そういう意味では役立たずです本番。本能的に出てくるレベルの単語しか使えません。

たぶんあらかじめ発言内容が知らされていれば①で困る通訳者はいないと思う。そして、②で困る通訳者もいないと思う。通訳者が知っている単語量は比較的多いと思うので、あらかじめ内容を聞かされていれば当たりがついて、単語は出やすい。

問題は発言内容が分からない場合。つまり通訳するほとんどのケースです。

 

②へのズバリ対策が分かっていれば苦労しないのだけれど、インプットの質と量で勝負がつく気がします。だって知っているものしかアウトプット出来ないように私たちの脳が出来ているから。本能的に出せるレベルにするには、幅広い言葉(日、英)に何度も出会う(聴く、読む)しかありません。

 

 

結局、多読多聴プラス出来るだけ幅広い単語の使用頻度を上げる、に尽きるのかもしれない。この辺は一生かけて苦しむところかと思いますが、通訳者であることの醍醐味でもあります。

馴染みの薄い中東地域に関する記事は本当に助かります。勉強させてもらってます。