こんにちは
通訳者の毎日をシェアする通訳者Mのブログです
英語から日本語の同時通訳は、止まったら終わりです。
どんどん話に置いていかれて、どこから追いついて訳せばいいのか分からなくなる。この時点で既に、自分の出している日本語や英語は結構乱れていると思っていいとおもう。焦りが声に乗ったり、あの、とかウッとかが増えてくる。そしてよくあるのは、文頭と文末が支離滅裂になること。
なぜ文頭と文末が対応しない日本語になってしまうかというと、一番は余裕がないから。置いていかれる!と思った時点で、もしくは置いていかれている状態は余裕ないっす。
自分が前に作った文章とのつながりを常に意識するから意味のわかる通訳になるはずなのに、余裕がなければ自分が何を言ったか覚えてませんから、今の今、聴こえてきた文章構造に合う適当な文末にしてしまうからなんです。
戒めの意味も含めてこうやって書いてみると、いかに監視の耳が、監視の脳が必要かわかります。自分のアウトプットを監視せずに通訳していると、聴いている人の耳に何が入っていったか分からないまま仕事をすることになる。つまり自分が支離滅裂な日本語を話しているかどうか確認せずに通訳することになる。
これは怖いです。
ふつう、会話する時は自分が何言ってるんだか皆さんわかって話してますよね。その当然のことすらも、大変なスピーカーの通訳していると怪しくなるんです。
根本的に日本にいて聞こえてくる英語はゆっくりです。通訳学校で使うスピーチなども速くありません。速いと通訳の練習になる前に英語の聞き取りテストになってしまうからです。
だから通訳学校を出て通訳者として仕事を始める時、そして、日本で通訳をしている私を含めた通訳者は、自分は一般道路を走っていると思った方が良いです。一般道路から首都高速に乗るなら、料金所通ってからアクセルしっかり踏まないと流れに乗れません。
ネイティブのスピードは首都高速レベルなので、たとえば昨日偶然聴いたポッドキャストを通訳しないといけないくらいの速さです。
通訳者を名乗る以上、ポッドキャストを聞いて分かるだけでは足りないということなのです。